韓国の税務・会計資料

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January 26, 2018
by swacc

企業における旅費交通費の管理

企業における旅費交通費の管理

旅費交通費とは、法人の業務遂行のため役員や従業員が近距離へ移動又は遠隔地へ出張する際発生する費用に対し、支給される旅費と交通費を言います。企業の旅費交通費に対しては、企業内で管理基準を明確に設けなければ、役員や従業員による私的な支出が企業の負担となる恐れがあるので、不正な支出を事前に防止するためにも旅費交通費の支給基準をあらかじめ設けておく必要があります。

韓国の税法には、旅費交通費において業務との関連性がないものや社会通念上過度な支出について規制する規定があります。今回は韓国の法人税及び所得税に関連した旅費交通費についていくつか例を挙げご説明します。

 

韓国の税法においては業務関連性の立証が大切なので、出張経費の大小にかかわらず業務に関連した支出であることを立証できる証憑書類を揃えておく必要があります。業務関連性が立証されない旅費交通費の支出は、費用として認められないだけでなく、係った役員や従業員の所得とみなされ所得税の追加課税に繋がりかねないので、業務関連性を立証できる資料と証憑書類の管理を徹底的に行わなければなりません。

 

特に、連休及び夏季休暇、年末年始などに海外出張費が発生した場合、業務とは関係ない個人的な旅行経費と区別がつかない場合があるので、注意が求められます。通常税務調査の際、調査官は特に海外渡航経費について詳しく調査しますが、業務との関連性がない経費が見つかると費用として認められず、その出張に係った人に対し所得税が課税される場合がよくあります。ただし、海外渡航の直接の動機が特定の取引先との商談、契約の締結等法人の業務の遂行のためであり、その海外渡航を機会に観光を併せて行うものである場合には、その往復の旅費は、法人の業務の遂行上必要と認められるのが一般的です。

また、役員が法人の業務遂行上必要と認められる海外渡航にその親族又はその業務に常時従事していない者を同伴した場合において、その同伴者に係る旅費を法人が負担したときは、その旅費はその役員に対する給与とみなします。

 

次は、従業員の国内の旅費交通費についてですが、従業員の通勤のため法人が車両を提供する場合は、法人の損金として処理します。また、車両の提供を受ける従業員には勤労所得税が課税されません。しかし、交通費補助額などの名目で給与又は別途に金銭で支給する場合においては、金額の大小にかかわらず勤労所得とみなされ所得税が課税されます。

さらに、従業員が法人の業務遂行のため出張した際、業務遂行上必要と認められる範囲内で会社の支給規程や社内規程など合理的な支給基準に基づいて従業員に支給した金額に対しては、社会通念上妥当と認められる範囲内で非課税となりますが、これを超過した金額に対しては当該従業員の勤労所得とみなされ課税されます。

 

最後に、役員や従業員の社用車に関連した規定について見てみましょう。社用車を会社の名義で購入又はリースして私的な用途に使った場合、その社用車の減価償却費や賃借料、維持管理費など関連費用に対し私的な用途で使用した分が占める割合で計算してその使用者の勤労所得とみなします。さらに、業務への使用比率を確認するために、車一台当たりの関連費用が年間一千万ウォンを超過する場合、その使用に対する運行記録簿の作成及び保存が求められるので会社にとっては相当な注意を払わなければならない項目です。

また、高級車を利用して短期間で過度な費用処理を行う慣行を防ぐため、その乗用車の減価償却費又は賃借した際は減価償却費に相当する金額が年間8百万ウォンを超過する場合、費用として認められのは年間最大8百万ウォンまでで、残りは繰り越しとなり後ほど費用として認められることとなります。

 

 

<筆者紹介>

信和会計法人は、2003年設立され、韓国進出を目指している企業、または進出済みの日本企業向けに、法人の設立に関するご相談及び設立代行、会計、税務、給与サービス、支給代行サービス、会計監査、デューデリジェンス(Due Diligence)サービス等を提供しております。大手会計法人の日本事業部出身のベテラン会計士を中心に設立され、豊富な経験とノウハウを活かし日系企業のクライアント様に最善のサービスを提供しております。

今回の担当: 張太日(チャン・テイル)公認会計士(韓国)。1963年生まれ。サンダーバード(Thunderbird)経営大学院でMBA取得。1989年~2003年に英和会計法人(現在、Ernst&Young韓英会計法人)にて勤務。1994年~1995年に日本太田昭和監査法人(現在、新日本有限責任監査法人)にて派遣勤務。現在は信和会計法人の国際部代表。(TEL: 02-555-9211/E-mail: tichang@swacc.com)



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