韓国の税務・会計資料

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November 01, 2022
by swacc

製薬•バイオ産業の主要会計処理に対する監督指針

製薬·バイオ産業の主要会計処理に対する監督指針



 金融監督院は9月23日付で製薬·バイオ産業の主要会計処理に対する監督指針を発表した。 監督指針とは、金融監督院が会計業務監督において従うガイドラインの一種であり、新しい会計基準または基準に対する解釈ではないため、合理的な根拠がある場合、各企業は同指針と異なる判断で会計処理を行うことができるといえる。 しかし、製薬会社とバイオ会社は相当部分、今回の監督指針に従って会計処理を行うものと予想される。


 国際会計基準(IFRS)は原則中心の会計基準であり、企業は取引特性に伴う判断と推定を土台に状況別に多様な会計処理が可能なのがその特徴だ。 それにもかかわらず、サムスンバイオロジクスが国際会計基準によりサムスンバイオエピスを従属会社から関係会社に変更した会計処理により検察捜査を受け苦境に立たされるのを見た企業と会計法人は会計監理に伴う事後的懲戒および処罰に対する憂慮で取引固有特性に関係なく過度に保守的に会計処理する傾向があったのも事実だ。 合わせて製造業中心の会計基準は急速に発展する製薬·バイオ産業など新産業の取引を時宜に適さず、各企業からは会計処理の不確実性の解消のための監督指針が必要だという意見が絶えず提起されてきた。 これに伴い、証券先物委員会は会計基準院内に金融委、金融監督院、会計基準院、会計法人、製薬·バイオ企業の実務者などで構成された会計基準適用支援班を構成し、最初の課題として製薬·バイオ産業の監督指針を用意することになったのだ。 その主な内容を見ると、次の通りである。


 1) 臨床第1相開始承認前に支出した開発費の資産化可否であるが、その間は臨床第1相開始承認前に支出した開発関連費用に対する資産化可否が不明であった。 2018年9月の監督指針によると、原則として臨床第1相開始承認以降の開発関連支出は資産化を許容したが、第1相開始承認前の支出を資産化できるかについては依然として混乱があった。 今回発表された監督指針によると、臨床第1相開始承認前でも開発の技術的実現可能性を客観的に提示する場合、臨床物質の購買·生産原価などの臨床第1相開始承認前の支出も資産化が可能になるように変わった。 開発の技術的実現可能性を客観的に提示する場合とは、会社が技術的に非常に類似した臨床開発事例を有しており、非常に高い確率の臨床開始承認経験を提示する場合、既に他の国において臨床1相開始承認となっており、同国における審査基準と有意な差がない根拠を提示できる場合、臨床1相開始承認前であるが、その技術的実現可能性を第3の外部専門家の意見や公信力のある分析により提示できる場合などを挙げている。


 2) 技術移転時の収益認識方法において、その間はライセンス売却とその他の付帯条件(臨床試験用役など)が結合された技術移転時、ライセンス売却に対する収益を共に提供する付帯条件が履行される前に、その他の付帯条件と区分して先に収益と認識できるかが不明であった。 今回の監督指針では、臨床用役を会社(licensor)だけでなく、第三者も技術的に問題なく遂行することができ、技術移転を受けた企業(licensee)が臨床試験用役とは別にライセンスの利益を享受できる場合、臨床用役が目標市場内の販売許可取得のための医薬品の効果·安全性などの確信を提供する手続きに過ぎず、成分自体に対する有意な変形をもたらさない場合のような2つの要件を満たせば、その他の付帯条件とは別にライセンス売却時点に売却代価を先に収益として認識できるようにした。


 3) 無形資産売却損益の損益計算書の表示方法を具体化した。 特許権、ライセンスのような無形資産を他企業に譲渡することによって発生した損益の会計処理時、会社の主な営業活動が何なのかに対する判断を先にし、その無形資産売却が会社の主な営業活動と関連して発生した損益ならば営業損益に区分できるようにした。 無形資産売却活動が1回性事件という事実だけで「主な営業活動ではない」と判断することはできず、無形資産売却活動が会社の事業目的で具体的に記載されており、無形資産売却組織、人材、事業計画などが十分な場合、これらを考慮して無形資産売却活動を営業損益に分類できるようにした。


 今回の金融監督院の発表により、各企業の会計処理における不確実性は一部除去されると考えられるが、企業の判断に基づいて会計処理ができるようにするIFRSの基本原則を考えれば、まだ国際会計基準の定着には時間がかかりそうだ。


<筆者紹介>
信和会計法人は、2003年設立され、韓国進出を目指している企業、または進出済みの日本企業向けに、法人の設立に関するご相談及び設立代行、会計、税務、給与サービス、支給代行サービス、会計監査、デューデリジェンス(Due Diligence)サービス等を提供しております。大手会計法人の日本事業部出身のベテラン会計士を中心に設立され、豊富な経験とノウハウを活かし日系企業のクライアント様に最善のサービスを提供しております。
今回の担当:張太日(チャン・テイル)公認会計士(韓国)。英和会計法人(現在、Ernst&Young韓英会計法人)にて勤務。日本太田昭和監査法人(現在、新日本有限責任監査法人)にて派遣勤務。現在は信和会計法人の国際部代表。(TEL: 02-555-9211/E-mail: tichang@swacc.com)


<出典:NNA ASIA アジア経済ニュース、2022.10.13 https://www.nna.jp/>



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