韓国の税務・会計資料

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May 16, 2022
by swacc

総合所得税申告

合所得申告



 毎年5月は個人の総合所得税申告の月だ。約800 万人と推定される2021 年度に総合所得がある個人は22年5月31 日までに総合所得税を申告・納付しなければならない。卸・小売業、飲食宿泊業、賃貸サービス業のうち一定規模以上の個人事業者(誠実申告確認対象者)は税理士の確認を受け、6月30 日までに総合所得税を申告納付しなければならない。一般的に給与所得だけがある場合には毎年勤務している会社で年末調整をすることで所得税納付義務が終了するが、2カ所以上で勤労所得が発生したにもかかわらず合算して年末調整しなかった場合、事業所得がある場合、海外からの所得がある場合などは5月中に所得を合算して国税庁に申告しなければならない。韓国に勤めている日本人駐在員の場合、日本本社でも給与を一部受け取っているならば納税組合加入可否、居住地国などを確認して総合所得税申告をしなければならない。


 韓国内に住所を置いたり183 日以上居所を置いた個人は税法上韓国の居住者に該当し国籍と関係なく国内・外で発生したすべての所得を韓国に申告・納付しなければならない。しかし、該当課税期間終了日の10年前から国内に住所や居所を置いた期間の合計が5年以下の外国人居住者は、国外で発生した所得が国内で支給されたり、国内に送金された所得に対してのみ課税する。原則的には、外国人の場合でも租税条約上、韓国の居住者に該当すると、全世界で発生した所得を韓国に申告しなければならないが、多くの外国人労働者が比較的短期間韓国で勤務し帰国する現実を反映して、外国で発生した所得であっても韓国に送金しない場合には、韓国に合算申告しなくてもいいとしている。例えば、韓国勤務5年以下の外国人が外国で発生した賃貸所得、利子所得のような資産所得は韓国に送金しない場合には、韓国国税庁に合算申告をしなくてもいいという意味だと言える。しかし、外国の本社から受け取る給与は一般的に韓国勤務によって発生したと見られるので、外国本社から受け取る給与を韓国に送金しなくても同勤労所得の発生地が韓国だと見ることができるので、韓国で合算申告をしなければならないだろう。


 22 年の申告には新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)と東海岸の大規模な山火事による被害者を支援するために総合所得税納付期限を政府が職権で延長した点に1つの特徴を持っている。新型コロナ防疫措置により集合禁止・営業制限措置を受けた風俗店・食堂・カフェ・銭湯業と施設人員制限を受けた結婚式場・葬儀場・スポーツ競技場などを営む小商工人は所得税納付期限を8月31 日までに延長された。そして零細自営業者および東海岸の山火事によって特別災難地域に宣布された地域に住所地を置いている納税者にも8月31 日まで納付期限を延長されている。しかし、総合所得税の申告期限は5月31日(誠実申告確認対象者は6月30 日)までと変わらないことに注意しなければならない。この措置により、約534 万人が納付期限延長の恩恵を受けるものと予想される。


 総合所得税申告対象者が申告をしなかった場合には各種税額控除または減免の恩恵を受けられないのはもちろん、算出税額の20%に該当する無申告加算税を追加負担することになる。また、二重帳簿の作成など帳簿の偽りの記帳、偽りの証明、帳簿と記録の破棄、財産の隠匿などの不正な方法で無申告をする場合には加算税額が40%に達するので注意しなければならない。また、5月は所得税法による総合所得税以外にも地方税法による総合所得税分地方所得税も申告しなければならない。この地方所得税の納付期限も総合所得税納付期限が職権で延長された場合、総合所得税と同様に、8月31 日まで最大3ヵ月職権延長されたという点も記憶しなければならないだろう。


<筆者紹介>
信和会計法人は、2003年設立され、韓国進出を目指している企業、または進出済みの日本企業向けに、法人の設立に関するご相談及び設立代行、会計、税務、給与サービス、支給代行サービス、会計監査、デューデリジェンス(Due Diligence)サービス等を提供しております。大手会計法人の日本事業部出身のベテラン会計士を中心に設立され、豊富な経験とノウハウを活かし日系企業のクライアント様に最善のサービスを提供しております。
今回の担当:張太日(チャン・テイル)公認会計士(韓国)。英和会計法人(現在、Ernst&Young韓英会計法人)にて勤務。日本太田昭和監査法人(現在、新日本有限責任監査法人)にて派遣勤務。現在は信和会計法人の国際部代表。(TEL: 02-555-9211/E-mail: tichang@swacc.com)


<出典:NNA ASIA アジア経済ニュース、2022.5 https://www.nna.jp/>



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