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May 16, 2022 |
会計監査と会計不正の予防会計監査と会計不正の予防 2017 年の会計改革の一環として導入された新外部会計監査法の施行以降、外面的には会計監査の厳格化、企業の内部会計管理制度の強化、会計処理の透明化など多くの効果がみられる。しかし、21 年末に発生した上場会社Osstem Implant の横領額は2,000 億ウォン(約188 億円)を超え、22 年2月に明らかになったもう1つの上場会社Keyang Electric Machinery の横領額も245 億ウォンに上るなど、今回の事件により会計監査の実質的な効果に疑問を持つ人が多いようである。 一部では、会計法人の低い監査品質によりこのような事件が発生したとする声もあるが、Keyang Electric Machinery の会計監査報告書を見ると、監査を厳格に行うといういわゆるビッグ4に属する会計法人から引き続き監査を受けていた。会計法人などの会計監査の品質の違いにより、このような横領を予防できないのではないと考えられる。 17 年に導入された会計改革は、監査人の周期的指定、標準監査時間の導入、そして内部会計管理制度の強化により構成されている。このうち、監査人の指定と標準監査時間の導入は、会計監査の際に企業と会計法人の癒着防止と会計監査品質の向上などの会計監査の強化を目的としており、内部会計管理制度の強化は企業の常時管理機能の強化を目的としている。 会計不正には意図的な会計粉飾だけでなく、横領なども含まれる。会計監査とは、企業の会計粉飾を摘発する機能を遂行するが、横領のような企業が予想していない資産の流出も摘発する機能も果たしている。しかし、会計監査は本質的に企業の業務遂行結果とその記録の適正性を評価するのにその機能が集中している。企業の業務活動の財務的な結果である財務諸表の作成が適切であるか、または企業の内部会計管理制度の運営結果の記録が適切であるかを評価するのが会計監査の基本機能と言える。すなわち、事後検証が会計監査の基本性格である。最近では半期検討、四半期検討などを通じて事後検証周期が短くなってきてはいるものの、本質的には企業が記録した資料の検討という事後検証の限界は抜け出せずにいる。 会計改革のもう1つの軸には、内部会計管理制度の強化がある。模範基準によれば、内部会計管理制度とは会社の財務諸表が会計処理基準に基づいて作成、開示されたかどうかについて合理的確信を提供するために設計・運営される内部統制制度の一部分で、会社の取締役会、経営陣などすべての組織構成員によって持続的に実行される過程を意味する。すなわち、会計不正の予防のためには、内部会計管理制度を適切に構築し運営すべき責任が企業にあるということである。その内部会計制度が適切に構築され適切に運営されているかを評価することは、会計法人の責任であるといえる。 最近のOsstem Implant とKeyang Electric Machinery の横領事件が表面化しているのは、企業の決算期を迎えて会計監査が始まったことと関連があると考えられる。会計法人の金融機関残高照会により、これ以上横領を隠すことが不可能になったからであろう。事後ではあるが、会計監査機能が働いているといえる。しかし、事前予防には企業の積極的な参加が必要といえる。内部会計管理制度の構築・運営と業務分掌には資源が必要であるが、一部の企業の中には内部会計管理システムの構築・運営に困難を来たす企業もあるだろう。会計改革は会計監査部門の改革とともに、会計不正の事前予防のための内部統制機能の改革も必要だ。会計監査の強化ですべての会計不正を予防できるわけではない。内部統制制度の構築と運営に企業の積極的な参加が必要だ。 |
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