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May 13, 2022 |
指定監査制度の運用改善指定監査制度の運用改善 2018 年「株式会社等の外部監査に関する法律」(以下、「外部監査法」という。)の改正に伴い、上場会社などの会計監査人の指定制が施行されて3年を経過した。金融監督院の資料によると、2017 年7.8%水準だった監査人指定上場会社が21 年には全体上場会社の51.6%の1,253 社が監査人の指定を受けるものと予想されている。 改正された外部監査法の適用により、40 年間、サムスン電子の監査人であったSamil 会計法人がAnjin 会計法人に交代されるなど、多数の大手企業が指定監査人から監査を受けることになった。周期的な監査人指定制は、6年間自由契約で会社が監査人を選任した後では3年間当局が指定した監査人から監査を受ける制度であり、企業と監査人の癒着関係を断ち切り、監査人の独立性が確保され、会計の透明性を高めることができると期待されている。 これをベンチマークした英国でも監査人指定制の導入を検討しており、ドイツでも10 年ごとに監査人の交替を義務付ける制度の導入を検討している。 一方、監査人指定制は、前任の監査人と新規監査人との葛藤、監査時間の増加、監査手数料の急激な引き上げなどによる会社と監査人との葛藤などの副作用も現れている。金融監督院は10 月、指定監査制度の副作用を補うための21 年度指定監査監督方策を発表した。その内容を簡単に見てみることにしよう。 (1)指定監査業務遂行モデル基準明文化 これまで監督指針、ガイドラインなどに散在していた監督事項を網羅的に業務遂行モデル基準を設け、これを各企業に個別に案内して指定監査制度の運用方針を広く知らせて指定監査を受ける会社に不利益を与えないようにした。 具体的には、監査人員・時間・報酬など監査契約関連事項を指定監査人と会社間の協議を通じて解決することを義務付けるとか、会社の特性を考慮して監査チームを構成するのを義務付けることなどだ。 また、指定監査人の地位を濫用した不当な資料要求及び第三者検証要求などの行為を制限し、また、指定監査人のデジタルフォレンジック(会計不正調査)要求のための要件も明文化した。そして、外部監査人の財務諸表作成支援禁止の規制も明確化した。 (2)指定監査人の権限濫用に対する監督強化 監査報酬以外の指定監査に係る苦情全般について届出ができるよう届出センターを拡大した。金融監督院、公認会計士協会、上場会社協議会、コスダック協議会などに申告センターを設け、指定監査人の不当行為を申告できるようにした。また、会社が監査人の不当行為の申告した場合には、監査人が調停に応じなければならず、監査人が合理的な事由なしに調停に応じない場合は監査人の指定を取消し、懲戒もできるようにした。 (3)前·当期監査人の意見調整の活性化 新規指定監査人と前期の監査人が前期の会計処理について意見が異なる場合がしばしばある。当然、前期の会計処理が当期の財務諸表にも影響を及ぼすので前期の監査人と当期の監査人とは対立が生じかねない。 このようなことが発生した場合、前・当期監査人の意見調整が円滑にできるように、まず前・当期監査人の意見交換のための協議会の名称を「前期誤謬修正協議会」から「前・当期監査人の意見調整協議会」に変更した。また、協議会に出席する外部委員に産業別の専門家2名を参加させるなど、協議会の活用度を向上させた。 (4)標準監査時間の法的性格の明確化 標準監査時間は必ず守らなければならない基準と考えてきた監査人と企業との間では、監査時間と手数料関連の摩擦が頻繁に発生している。これに当局は、標準監査時間は監査人が会社に必要な監査投入時間を決定するのに指標として活用できる一般的・平均的監査時間として適正水準の監査時間を算定する際に参考する資料であることを明文化した。 したがって、監査人が監査対象会社の適正監査時間を算定する際に、監査人の判断および会社の特性を反映し、その根拠を適切に文書化すれば、監査時間が標準監査時間より低いという事実だけで不良監査に該当しないことを明確にした。 金融監督院の今回の発表を見れば、これまで明らかになった指定監査制運用時のさまざまな副作用の対策をまとめたとも言える。しかし、監査人指定制度が会計不正の予防と摘発にどの程度効果があるかはもう少し見守らなければならない。 |
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