定時株主総会の準備

毎年3月になれば会社は株主総会の準備で忙しくなる。資料によると外部監査対象会社の92.8%、上場会社の94.5%が12月(期)決算を採択している。日系企業の中でも本社は3月(期)決算を採択しているにも拘らず韓国の現地法人は12月決算をしている会社も相当ある。ここでは定時株主総会の準備の際に注意すべき点を簡単に検討して見る。

商法によると取締役は決算期ごとに貸借対照表、損益計算書、資本変動表、利益剰余金処分（又は、欠損金処理）計算書とその附属明細書を作成し、又、会社の現況と該当年度の営業成果、設備投資、親会社と子会社の状況、会社の課題などを記載した営業報告書も作成して取締役会の承認を受けなければならない。 この財務諸表と営業報告書は定時株主総会日の6週間前まで監査役に提出し、この財務諸表と営業報告書を提出してもらった監査役は4週間以内に監査報告書を作成して取締役に提出しなければならない。取締役は定時株主総会に貸借対照表、損益計算書等の財務諸表を提出して承認を得なければならなく、営業報告書は定時株主総会の承認対象ではなく報告対象である。財務諸表と営業報告書、監査報告書は定時株主総会日の1週間前から本社には5年間、支店には3年間備置しなければならなく、定時株主総会で承認を得た貸借対照表は遅滞なく公告しなければならない。公告は日刊新聞だけではなく、定款の定めにより会社のホームページでの公告も認めている。

商法によると株主総会は取締役会が招集する。取締役会で株主総会日が決まったら会社は株主総会日の2週間前まで招集通知書を発送する。株主の同意があった場合にはイーメールなどの電子文書も可能である。しかし、資本金10億ウォン未満の会社の場合は株主総会日の10日前まで通知書を発送することも可能であり、また、株主全員の同意があった場合には書面決議も可能である。株主総会の招集地は定款に別の規定がなければ本店或いはこれに隣接する地に招集しなければならない（商法364条）。しかし、代理人による株主総会への参加（商法368条第2項）、出席しなく書面による議決権の行使も可能（商法368条の3）、出席しなく電子的方法による議決権の行使も可能（商法368条の3）となっているので韓国に現地法人を置いている日本企業は株主総会開催時、多様な方法を選択することができる。

商法によると取締役会は各取締役が招集する。基本的には取締役会日の1週間前まで通知を発送しなければならないが定款でその期間を短縮することができる。取締役と監査役の全員の同意があった場合には何時でも会議を開くのもできる。又、TV会議の方法により取締役会を開催することを認めている（商法第391条）。即ち、定款で別の定めがある場合を除いては取締役会は取締役の全部又は一部が直接会議に出席せず、全ての取締役が音声を同時に送受信する遠隔通信手段により決議に参加することができる。この場合当該取締役は取締役会に直接出席したと見做す。

株主総会時には必ず会議の経過要領とその結果を記載した議事録を作成して議長と出席した取締役が記名押印または署名しなければならない。 取締役会の議事録には案件、経過要領と結果、反対者と反対理由を記載し出席した取締役と監査役が記名押印または署名しなければならない。

以上は定時株主総会の開催時に必要な関連規定と注意すべき事項を簡単に検討して見た。しかし、実際適用に於いては専門家と相談する必要がある。

<筆者紹介>
信和会計法人は、2003年設立され、韓国進出を目指している企業、または進出済みの日本企業向けに、法人の設立に関するご相談及び設立代行、会計、税務、給与サービス、支給代行サービス、会計監査、デューデリジェンス(Due Diligence)サービス等を提供しております。大手会計法人の日本事業部出身のベテラン会計士を中心に設立され、豊富な経験とノウハウを活かし日系企業のクライアント様に最善のサービスを提供しております。
今回の担当：張太日(チャン・テイル)公認会計士(韓国)。1963年生まれ。サンダーバード(Thunderbird)経営大学院でMBA取得。1989年～2003年に英和会計法人(現在、Ernst&Young韓英会計法人）にて勤務。1994年～1995年に日本太田昭和監査法人(現在、新日本有限責任監査法人)にて派遣勤務。現在は信和会計法人の国際部代表。(TEL: 02-555-9211/E-mail: tichang@swacc.com)

<出典：NNA ASIA アジア経済ニュース、2020.03.12 https://www.nna.jp/>