韓国の税務・会計資料

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April 08, 2019
by swacc

税法上の中小企業の要件

税法上の中小企業の要件

税法では、企業を中小企業、中堅企業及び一般企業に区分しており、企業の規模によって税制支援が異なります。中小企業の場合、一般企業に比べて交際費の限度が増え、不渡り債権の貸倒処理の要件が簡単になり、税額控除の繰越控除の認め、源泉徴収の半期納付の特例適用、法人税の分割納付期限の延長などの様々な税制上の優遇措置があります。これ以外にも創業段階、投資及び資金調達の段階、事業段階及びリストラクチャリング段階などの各事業段階別に様々な税額控除・減免の支援を受けることができます。ゆえに、外国人投資者も韓国への投資を検討する際に、韓国の中小企業の要件を事前に検討し、条件に該当する場合は税制支援を受けた方が良いと思います。ここでは、中小企業の要件について簡単にご説明いたします。

租税特例制限法によると中小企業は出資会社又は韓国に設立する会社の資産規模が5,000億ウォン未満でなければなりません。したがって、持分30%以上の出資会社が5,000億ウォン以上の資産規模であれば、いくら子会社の規模が小さくても韓国の税法上の中小企業に該当されないため、中小企業に対する税制上の優遇措置は適用されません。また、業種が一般ホテル、酒店及び娯楽業などの消費性サービス業であれば、中小企業に対する支援を受けることができません。ただし、許可を得た観光ホテル、外国人専用の遊興飲食店等は中小企業向けの支援が受けられる業種に該当します。

上記の規模と業種、基本的な二つの条件を揃えましたら、次は会社の売上規模によって中小企業であるか否かが決定されます。中小企業の売上基準は業種によって異なりますが、製造業の場合、売上800億から1,500億を上限とし、これを超過すれば中小企業から除外されます。建設業、卸売業及び小売業の場合は1,000億ウォン、運輸倉庫業、情報通信業などの場合は800億ウォン、科学及び技術サービス業、機械装備修理業の場合は600億ウォン、宿泊及び飲食業、金融及び保険業、不動産業、賃貸業、教育サービス業などは400億ウォンの売上基準が適用されます。この基準金額を超過すれば、中小企業から除外され、中小企業に対する支援を受けることができなくなります。

企業の成長などによって中小企業の範囲から外れた場合、一般的に中小企業から外された年度とその次の3年間は中小企業として認められ、中小企業の卒業に伴う税務面での打撃を軽減しています。また、中小企業の規模を3年以上外れた中堅企業に対しては、研究開発費の税額控除、中小企業など投資税額控除などの一部の税額減免など、売上高によって支援を続けています。

しかし、相続贈与税法上の中小企業基準は租税減免規制法上の中小企業とは異なっており、このように税法によって中小企業の定義が異なっている点を注意し実務に適用する必要があります。




<筆者紹介>

 

信和会計法人は、2003年設立され、韓国進出を目指している企業、または進出済みの日本企業向けに、法人の設立に関するご相談及び設立代行、会計、税務、給与サービス、支給代行サービス、会計監査、デューデリジェンス(Due Diligence)サービス等を提供しております。大手会計法人の日本事業部出身のベテラン会計士を中心に設立され、豊富な経験とノウハウを活かし日系企業のクライアント様に最善のサービスを提供しております。

今回の担当:張太日(チャン・テイル)公認会計士(韓国)。1963年生まれ。サンダーバード(Thunderbird)経営大学院でMBA取得。1989年~2003年に英和会計法人(現在、Ernst&Young韓英会計法人)にて勤務。1994年~1995年に日本太田昭和監査法人(現在、新日本有限責任監査法人)にて派遣勤務。現在は信和会計法人の国際部代表。(TEL: 02-555-9211/E-mail: tichang@swacc.com)



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