韓国の税務・会計資料

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December 07, 2018
by swacc

韓国のIFRS

韓国IFRS

 

 

最近、証券先物委員会はSamsung BioLogicsが保有しているSamsung Bioepisの株式評価に関連して会計処理違反という判断を下した。これに対して企業や会計士の間でSamsung BioLogicsが適用した会計基準のIFRS(International Financial Reporting Standards)について論議を引き起こしている。2011年に韓国がIFRSを導入したことによってK-GAAP(一般企業会計基準)を適用し会計処理を行ってきた上場企業はIFRSの適用が義務付けられ、非上場企業は引き続きK-GAAPを適用し会計処理している。



従来のK-GAAPは法律関係及び契約内容により会計処理方法を具体的かつ詳細に適用する規定中心(Rule-Based)の会計基準である。一方でIFRSは経済的な実質を反映し合理的に会計処理を行うことができるように会計処理の基本原則や方法論を提示し、複数の会計処理の代案のうち、企業自らが判断して会計処理できるようにする原則中心(Principle-Based)の会計基準だと言える。



IFRSはIASB(国際会計基準審議会)が各国別に異なる会計基準を統一するために制定した基準で、全世界の130以上の国で採用されているが、韓国のように完全適用している国は少なく、多くの国では部分適用し各国の実情に合わせて修正の上、使用している。また、米国はIFRSではないUS-GAAPを採用しており、日本はIMIS(修正国際基準)という独自の基準を発表するなど、IFRSを採用していない先進国も多く見られる。



原則中心のIFRSでは会計処理の多様性が認められざるを得ず、資産価額の評価においても原価や公正価値のいずれも認められる。取引きの形態は進化しており、企業環境も変化し続けている中、最近発生したSamsung BioLogicsのSamsung Bioepisに対する支配力判断問題、建設や造船産業など、受注産業の損失認識問題、製薬・バイオ産業の開発費の資産化問題などから分かるように原則中心の会計基準では引き続き様々なイシューが発生するはずであり、どこまで多様性を認めるのかについて社会的合意や監督当局の監督原則を再定立する必要がある。会計業界の一部では多様性の認定について合意されない場合、再び規定中心の会計原則に立ち戻ることになるという主張も出ている。



外部監査に関する法律が改定され2018年11月から適用されている新外監法は企業や監査人に対して民事上・刑事上の責任及び課徴金賦課などの責任を強化し、企業や会計法人の会計リスクが大幅に増加した。今のような環境の中で Samsung BioLogicsのような事後結果中心の監督慣行では企業の不安や反発だけが増えていくのであり、会計監査人も不確実性によって専門家としての判断よりはIFRSの導入趣旨とは全く違って監督当局の判断に依存することになると予想される。IFRSを定着させるためには企業、会計監査人、監督当局の間に多様性の認定範囲に関する合意や事後結果を中心とした規制や処罰中心の監督慣行脱皮など優先的に解決すべき問題が山積している。IFRSを廃棄、修正、継続などの色々意見が出ている中で、既に実施しているIFRSの定着や進展が現実的な方案と思われる。この為には民間だけではなく監督当局も過去の規定中心、規制中心の思考慣行から解放されることが必要だ。



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