韓国の税務・会計資料

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July 05, 2018
by swacc

法人税法上の寄附金控除

法人法上の寄附金控除

 

寄附金は法人の事業と直接的な関連性のない支出という点で、法人税法上原則的に損金性が否認されますが、企業の社会的責任と企業活動を円滑に行うため事実上欠かせない寄附金や公益性のある寄附金に対しては一定の限度額の範囲内で損金と認められます。

損金と認められる寄附金には、法律で指定した法定及び指定寄附金団体に支出した寄附金がありますが、損金に算入される限度額の計算が異なります。一方、法定及び指定寄附金に分類されない非指定寄附金は、全額損金不算入となります。

 

まず、法定寄附金とは、国や地方自治体などに何の見返りもなく寄贈することを言いますが、限度額の計算は次の通りです。

 

限度額=[(差加減所得金額:寄付金に対する税務調整を除いた全ての税務調整を反映した所得金額)+法定寄附金+指定寄附金)-繰越欠損金]X 50%

 

上記の限度額を超過して損金不算入となった法定寄附金に対しては、以降5年間繰り越して損金算入することができます。

 

次に、指定寄附金とは、社会福祉、文化及び学術など公益性が考慮され法律で指定した指定寄附金団体に固有目的事業費として支出する寄附金のことで、限度額を計算する方法は次の通りです。

 

限度額=[(差加減所得金額+指定寄附金)–繰越欠損金]X 10%

 

もちろん、指定寄附金においても限度超過額に対しては5年間繰越控除ができます。ただし、繰り越して損金算入できる指定寄附金の限度超過額は繰り越された各事業年度において、指定寄附金が損金算入限度額に満たない場合に限り、その不足額の範囲内で損金算入ができます。

 

また、両寄附金に共通することですが、寄付金の損金帰属時期は原則的には現金主義ではありますが、政府から許認可を受ける前の設立中である公益法人及び団体などに寄附金を支出する場合には、その法人及び団体が政府から許可または認可を受けた日が属する事業年度に帰属されます。法人が寄附金を支出した場合、各寄附金の種類別明細書や領収書の提出が必要となります。法人が金銭以外の資産で指定寄附金および法定寄附金を出した場合は、当該資産の帳簿価額が寄附金と計算されます。


 

<筆者紹介>

信和会計法人は、2003年設立され、韓国進出を目指している企業、または進出済みの日本企業向けに、法人の設立に関するご相談及び設立代行、会計、税務、給与サービス、支給代行サービス、会計監査、デューデリジェンス(Due Diligence)サービス等を提供しております。大手会計法人の日本事業部出身のベテラン会計士を中心に設立され、豊富な経験とノウハウを活かし日系企業のクライアント様に最善のサービスを提供しております。

 

今回の担当:張太日(チャン・テイル)公認会計士(韓国)。1963年生まれ。サンダーバード(Thunderbird)経営大学院でMBA取得。1989年~2003年に英和会計法人(現在、Ernst&Young韓英会計法人)にて勤務。1994年~1995年に日本太田昭和監査法人(現在、新日本有限責任監査法人)にて派遣勤務。現在は信和会計法人の国際部代表。(TEL: 02-555-9211/E-mail: tichang@swacc.com)

 



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