韓国の税務・会計資料

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January 19, 2018
by swacc

中小企業に対する特別減税

中小企業に対する特別減税




 韓国に進出している外国企業に対して、外国人投資促進法による外国人投資の保護や補助金の支給、税制支援等、様々な外国人投資支援策を実施しており、「租税特例制限法」で定めるところによって法人税や所得税、取得税、登録税、財産税、総合土地税等の租税を減免することができます。外国企業であるか否かを問わず、租税特例制限法上、中小企業の要件を満たす場合は、中小企業向けの税の減免及び控除が受けられます。今回は中小企業への税制支援のうち、最も一般的な支援制度といえる中小企業に対する特別減税について調べてみましょう。

 

1.減免対象企業




減免対象業種に属する事業を経営する中小企業は、2017年末以前の課税年度までの期間中に、当該事業所が獲得した所得に対して、一定の減免率を乗じて算出した税相当額が減免されます。

 

2.減免対象業種




製造業や建設業、卸売業及び小売業、情報サービス業、研究開発サービス業、観光業が減免対象の業種となっており、その他の対象業種は次のとおりです。




耕種農業、畜産業、漁業、鉱業、下水・廃棄物処理業、原料再生・環境復元業、運輸業のうち旅客運送業、出版業、映像・音声情報制作及び配給業、放送業、電気通信業、コンピュータ・プログラミング、システム統合及び管理業、広告業、その他の科学技術サービス業、充填・包装業、デザイン業、創作・芸術関連サービス業、注文者商標付着(OEM)方式による受託生産業、エンジニアリング業、物流産業、職業技術校(塾)を運営する事業、自動車整備工場を運営する事業、船舶管理業、医療機関を運営する事業、老人福祉施設を運営する事業、展示会産業、労働者供給・職業紹介業、コールセンター・テレマーケティングサービス業、省エネルギー事業、介護老人保健施設を運営する事業、建築物清掃・産業用設備洗浄業、警備・警護サービス業、マーケーティングリサーチ・世論調査業、社会福祉サービス業、知的財産権取引業、介護ヘルパー・介護サービス業、社会教育施設、教育訓練機関、賃貸住宅管理業、新・再生可能エネルギー発電事業、セキュリティシステムサービス業、林業等。

 

3.減免率




内国法人の本店または主たる事務所が首都圏にある場合、すべての事業場が首都圏にあるものと見なして減免率を適用します。






減免の要件



減免率



企業



業種



事業場の所在地



小規模



卸売業及び小売業、医療業



-



10%



小規模



卸売業及び小売業、医療業を除く減免業種



首 都 圏



20%



小規模



卸売業及び小売業、医療業を除く減免業種



非首都圏



30%



中規模



卸売業及び小売業、医療業



非首都圏



5%



中規模



知識基盤産業



首 都 圏



10%



中規模



卸売業及び小売業、医療業を除く減免業種



非首都圏



15%

 

減免率については、当該課税年度の開始日を基準に当該業種を10年以上継続している企業で、課税年度における総合所得金額が1億ウォン以下、かつ誠実な事業者に対して、上記減免率に1.1を乗じて得た比率を適用します。

 

中小企業基本法における中小企業とは、主な業種及び平均売上高が中小企業基本法別表に掲げる要件を満たし、資産総額が5千億ウォン未満でなければなりません。但し、相互出資制限企業集団等に属する会社または相互出資制限企業集団等所属会社に編入され通知を受けたと見なされる会社及び資産総額が5千億ウォン以上の法人(外国法人を含む)で、100分の30以上の株式等を直接的または間接的に所有する最多出資者である場合は、中小企業の対象から除外されます。

 

減免率表上、首都圏では小規模企業でない限り、中小企業特別減税の支援を受けることが難しいです。

 

外国企業においても中小企業の減免対象となる事業を経営することが多いですが、親会社の資産規模及び持分投資比率を考慮して中小企業の要件を満たすかどうかを確認し、中小企業向けの税制支援が享受できるような検討が求められると言えましょう。




<筆者紹介>

 

信和会計法人は、2003年に設立され、韓国進出を目指している企業、または進出済みの日本企業向けに、法人の設立に関するご相談および設立代行、会計、税務、給与サービス、支給代行サービス、会計監査、デューデリジェンス(Due Diligence)サービス等を提供しております。大手会計法人の日本事業部出身のベテラン会計士を中心に設立され、豊富な経験とノウハウを活かし日本企業のクライアント様に最善のサービスを提供しております。

 

今回の担当: 張太日(チャン・テイル)公認会計士(韓国)。1963年生まれ。サンダーバード(Thunderbird)経営大学院でMBA取得。1989年~2003年に英和会計法人(現在、Ernst&Young韓英会計法人)にて勤務。1994年~1995年に日本太田昭和監査法人(現在、新日本有限責任監査法人)にて派遣勤務。現在は信和会計法人の国際部代表。(TEL: 02-555-9211/E-mail: tichang@swacc.com)

 


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